いまさらながら、DVD『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』を観ました。F1ドライバーとしてのアイルトン・セナのレース人生を、アラン・プロストとの対立を軸に描いたドキュメント映画です。

セナは、1984年から1994年まで活躍したF1ドライバーです。天才ドライバーと呼ぶにふさわしい走りで世界中の人々を魅了しました。誰よりも純粋にレースを愛した一方で、F1界の政治的駆け引きに苦悩し、いつも陰のある寂しげな表情をしていたのが印象的です。1994年5月1日、レース中の事故で亡くなりました。

そんなセナのレース人生に、おそらく一番大きな影響を与えたのが、ほぼ同時代に活躍したプロストです。セナとは対照的な人でした。単純に言えば、セナは、誰よりも速く走ることに情熱を燃やし、プロストは、最終的に勝てばいいと策略を巡らすというスタイルだったのです。また、セナが苦手にした政治的駆け引きに、プロストは長けていました。

この、両者の対照的な違いは、才能の違いだと思います。プロストは、セナをはじめとする彼のライバルほど速く走れなかったのでしょう。事実、エンジンの回し方があまりうまくなかったと言います。だから、速く走る以外の方法(レースの内外を含めた様々な方法)を模索し、最終的にそれをものにしました。

当時のF1が面白かったのは、この二人のおかげだと言っても過言ではありません。F1の魅力を測る“二つの評価軸”が同時に存在し、競い合っていたのです。


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さて、『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』の感想です。実は僕は、セナ派ではなく、プロスト派なのです。なので、セナのことはあまり好きではありません。それにも関わらず、二度も号泣してしまいました。

一度目の号泣は、1990年のブラジルGP、悲願の母国初優勝のシーンです。無線に入ったセナの歓喜の叫び声は、本当に心を動かしますよね。また、当時のブラジルは貧困が暴力を呼び、国中がすさみきっていたわけですから、なおさらです。

二度目は、終盤あたりです。1994年4月29日のルーベンス・バリチェロの事故、30日のローランド・ラッツェンバーガーの事故死、5月1日のセナの事故死。あまりに悲痛なレースウイーク。そして、母国に帰ったセナと、それを悲しむ国民。

映画館で観なくてよかった。あれだけ泣くと、さすがに周りの客に引かれる。

僕は、セナはレース中に死ねたことは、ある意味、本望だったのではないかと思っていました。レースをこよなく愛した人ですから。

でも、決してそんなことはなかったと思い至りました。セナは、いつも生きようとしていましたね。苦悩し、もがきながらも、生きようとしていました。セナも普通の人だったのです。このことに気付いただけでも、観てよかったと思います。

ただ、当時のF1に明るくない人には、少し分かりにくいかもしれません。あくまでも、懐かしむことができる人向けかなぁという気がしました。

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そういえば、1994年にVHS『Ayrton Senna The History』という、セナの生涯を記録したビデオBOXが発売されました。VHSテープが何本組かの長編。当時高校生の僕には高価でしたが、買いました(もう手放しましたが)。ナレーションとか演出は地味でしたが、また観てみたい。DVDとかで再販してくれないかなぁ。