もう二か月前の話になりますが、映画『さらば あぶない刑事』を観ました。

1月の劇場公開を心待ちにしながら、諸事情により観に行くことができなかったので、DVDの発売を待ってました。以下、ネタバレありの感想。

内容がなくてもいいじゃないか

まず、率直な感想としては、懐かしいなぁと。

面白さより懐かしさが先行するのは、「おなじみ」からなる映画だからです。おなじみの場面、おなじみの台詞、おなじみのやり取り。すべてが懐かしいのです。

そういう意味では、やっぱり「内容のない映画」なんですよ。

劇場版第一作目は、映画評論家から「内容のない映画」と評されました。テレビでやってることをスケールアップさせただけで、しかも、表現作品としてのメッセージ性は皆無だったからだと思います。でも、エンタメ作品なんて、それでいいんですよ。

タカがハーレーに乗りながらライフルをぶっばなす、ユージがダッシュする、トオルが戸惑う、かおるがコスプレする。それが見たいだけなんです。

そういった目的が達成できましたから、僕は、そこそこ満足しました。

シリーズ完結

また、本作は、そのタイトル通り、シリーズ完結作です。

タカとユージの定年までの5日間とその後を描いていますので、よほどのこと(『ハイスクール!奇面組』の引き延ばしとか)がない限り、シリーズ完結なのでしょう。

ファンとしては、二人の定年を見届けられてよかったです。それに、かつての港署の面々も多数登場するので、完結作というか同窓会的な賑わいが楽しかったですね。

ただ、柴田恭兵の滑舌がちょっと気になりました。

たとえば、「It’s show time」や「セクシー大下」の発音は、すでにセクシーではなくなってるような気がします。仕方がないこととは言え、悲しかったです。

問題のシーンについて(ネタバレ含む)

さて、ここからネタバレに入りますが、問題のシーンについてです。

言うまでもなく、予告編にも出ている「残りの弾の数と、敵の数が、全く合いません」のあとです。敵のボスは倒したものの、大勢の手下に追い詰められたタカとユージは、残弾が少ないまま、渦中へと突入するのですが。

そこでフェードアウトして、エピローグの後日談に移っちゃうんですね。

平和を取り戻した横浜では平和都市宣言の式典が催され、トオルがスピーチの中で、「殉職した警察官がいたことを忘れてはならない」旨を訴えます。

早い話が、二人が殉職したかのように思わせる演出です。

殉職したのかと思わせておきながら、そのあと、ニュージーランドで探偵を始めたタカとユージの生活の様子が流れます。あぁ、生きていたんだねとなるわけです。

この演出が、賛否を巻き起こしました。

特に、「あの場面でのフェードアウトはないだろう」、「どうやって切り抜けたのか見たかった」という声が多かったように思います。僕も素直にそう思いました。

二人が殉職したように思わせる手法は、『もっともあぶない刑事』でもありました。

敵が死に際に転がした小型爆弾が、二人の足元で爆発。寂しげなBGMの中、キャストのクレジットが流れます。その報をいち早く受けた近藤課長は、受話器を落とし、その場で立ち尽くします。そうやって殉職をにおわせておきながら(『もっとも』は完結編だと思われていた)、「死ぬかと思った」と瓦礫の中から顔を出す二人。

ただ、『もっとも』では敵を全滅させたあとだったので、敵がわんさか残っている『さらば』とは、後味が違います。『さらば』はやっぱり物足りなさを感じます。

もちろん、この演出を好意的に解釈できないわけではありません。

おなじみの演出を見せて、あとは観客の想像力にお任せしますと、そういうことになるのでしょう。その少し前からやたらと貨物列車が抜かれていたのは、想像しやすくするための伏線を与えるためだったようにも思えます。

きっと、その貨物列車には危険物が積まれて、それを爆発させることで、大勢の敵を一網打尽にしたと、そんな感じではないでしょうか。

もっと深読みをすると、列車の爆発シーンなんてお金のかかることができるかと、それぐらいなら、観客の想像にまかせることにしたらいい、そんなところでしょう。

演出の意図や大人の事情は汲みますけど、やっぱり物足りないのが正直なところです。

まとめ

そんなわけで、『さらば あぶない刑事』の感想でした。

内容も演出も昔ながらの刑事モノで、2016年に観る意味があるのかという感じですけど、往年の『あぶデカ』ファンが懐かしさに浸るには十分だと思います。

ただ、『あぶデカ』に思い入れのない人は、見なくてもいいかもしれません。

うちの恋人と一緒に見たのですが、『あぶデカ』を観たことのない彼女にとって、『あぶデカ』らしさの一部は、ちょっと受け入れがたいところがあったようです。たとえば、舘ひろしと菜々緒の年の差カップルとか。まぁ、分からんでもない。

これから観る人は、テレビ放送を待つのがいいと思います。

僕もそれをハードディスクに録画して、たまにながら見するぐらいがちょうどいいと思っています。DVDをプレイヤーに入れる手間をかけるのが惜しいと感じる程度のものです(笑) 決して嫌いではないんですけどね。