二重鍵括弧(『』)の使い方が気になっています。

ある人の文章で、鍵括弧(「」)内にさらに鍵括弧(「」)で括られた部分があったんですね。対応関係が分かりにくくて読みにくいと感じたのですが、どうも、それが「正しい」のだそうで。

不勉強なことに、僕はまったくの初耳でした。以下、この手の符号の話。

「使わないことが正しい」

僕の認識では、この手の符号には厳密な使い方というのはないはずです。

そもそも、日本語でこの手の符号が用いられるようになったのは、比較的最近のことです。ちょっと昔の文献を見れば分かりますが、句読点さえ用いられていないのが普通です。

古い文献をあたらなくても、年賀状なんかでもそうですよね。

年賀状の書き方を調べると、たいてい、こんな説明がなされていると思います。「句読点は打たない。句読点は、そもそも伝統的な日本語にはない。また、相手が読みやすいように打つものであることから、句読点を打つことは相手を下に見ていることになり、挨拶状には不適」など。

※ 僕は、年賀状でも句読点を打っていますが、別に、相手を下に見ているわけではありません。読みやすい方がいいと思っているだけです。

そんなわけで、「昔からそうである」という意味での「正しい使い方」というものはありません。むしろ、「使わないことが正しい」わけです。

くぎり符号の使ひ方

では、現代日本語において、この手の符号はどう使っていけばいいのか、です。

繰り返しになりますが、厳密な使い方というのはないはずです。もしかしたら、ローカルルールを持つ組織や業界があるかもしれませんが、多くの人はそのローカルの人ではないので。

ただ、厳密なものではありませんが、広く参考にされているものはあります。

それが、1946年の文部省「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」(文化庁のものが見やすい)。冒頭にある通り、これは、「現在でも公用文、学校教育その他で参考にされています」。

自由に加減

僕も、基本的にはこれに則っているところが大きいです。

でも、外しているものも多いですよ。「くぎり符号の適用は一種の修辞でもあるから、文の論理的なすぢみちを乱さない範囲内で自由に加減し」ているわけです。

たとえば、マルの「カギの中でも文の終止にはうつ」というもの。

括弧内で文が続く場合は句点を打ちますが、句点と括弧の結びが重なる場合は、僕は句点を打ちません。共に結びの符号なので、括弧の結びだけで十分だと思いますし、横書きだと句点と括弧の結びが並ぶと納まりが悪い感じがします(縦書きだと納まりがいい)。

あと、最後の横書きのところ、「テン又はナカテンの代りに、コンマ又はセミコロンを適当に用ひる」。僕は、読点としてコンマを使う場合は、句点はピリオドを使います。コンビですから。

そんな感じで、「論理的なすぢみちを乱さない範囲内で自由に加減し」てます。

まとめ

で、気になった鍵括弧内の鍵括弧です。

僕の感覚では、鍵括弧内の鍵括弧は、「カギの中にさらにカギを用ひたい場合は、フタヘカギを用ひる」、つまり、二重鍵括弧なんですよ。

鍵に限らず、括弧というのは、「始め」と「結び」の対応関係が重要です。対応関係を取り違えてしまうと、「論理的なすぢみち」が乱れてしまします。「「」「「」」」とあるよりも、たとえば、「『』『<><>』」とある方が、「論理的なすぢみち」の通りがいいように思えるのです。

でも、「鍵の中でも二重鍵を使わないのが正しい」と言っている人もいると。

あれこれ調べてみましたが、結局、鍵括弧内の鍵括弧が「正しい」という根拠は見つけられませんでした。どっかの業界のローカルルールなのかなぁ。気になりますねぇ。