初夏ぐらいから、アニメ『じゃりン子チエ』(第一期)を見始めて、先日、ようやく全64話を見終えました。

本放送は、1981年10月3日から1983年3月25日までという古い作品ですが、大阪の方では頻繁に再放送されてたので、あまりそういう感覚はありません。『サザエさん』のような定番作として捉えていたんだと思います。

余談ながら、アニメ第一期(先行した映画版も同じ)の監督は高畑勲。声優という括りにこだわらず、大阪弁をしゃべれる人をキャスト起用したことで有名です。以降、高畑勲は、声優ではない人を積極的に起用するようになり、この手法は、宮崎駿にも受け継がれます。まぁ、賛否ありますが。

で、アニメ『じゃりン子チエ』を観たのは、多分、20年振りぐらいです。原作の単行本は40巻あたりまでは読んでいたのですが、それ以降は、連載終了のニュースを見て最終話を立ち読みしたぐらいで、20年ぐらいは触れてなかったんですね。

それがなんで急に観ようと思ったかと言えば、何かで『じゃりン子チエ』がギャグ漫画に分類されているのを見て驚いたからです。

うーん、僕はギャグ漫画だという認識はなかったなぁ。でも確かに、猫が二足歩行で歩き、池で釣った魚を塩漬けにしてたりするので、それをギャグ漫画ではないと言い張るのは無理があるような気もする。うぬぬ、ギャグ漫画だったのか……。

というわけで、自分の中の分類を改めようと見直したわけです。

http://www.amazon.co.jp/TV放送開始30周年記念-じゃりン子チエ-SPECIAL-BOX-セット数予定/dp/B005KVKK4A

それにしても、『じゃりン子チエ』を観てこんなに泣くとは思いませんでした。子供のころに「深い話なんだろうな」と理解してた話が、「めちゃくちゃ深い話」だったと理解できるようになってました。キャラクターの微妙な心情が、ここまで丁寧に巧みに描かれていたのかと、本当に驚きました。さすがは高畑勲ですね。

とは言え、やはり途中からマンネリな感じがしてくるんですよね。単行本を読むのをやめたのも、マンネリ化に堪えられなかったからだったと思い出しました。

今回、あらためて見直して、やはり花井(拳骨)センセは偉大な人物だなぁと。もしかしたら、花井センセが僕のオッサン好きの原点かもしれません。

李白研究の第一人者として将来を嘱望され、大学卒業後も大学に残って李白研究を続けたが、権威をかさに着る指導教授と衝突を繰り返し、遂には全裸にひん剥いて学内のポプラ樹に吊るしてしまう。この事件によって大学を去り、以後は一小学校教諭として定年まで勤め上げる、権威とは無縁の豪放磊落な人物。

ウィキペディアからの引用ですが、こういう人物に憧れがある。

また、花井センセはテツが大好きなんですよね。時折、テツと二人のときに、真理めいた話をするわけです。たとえば、花井センセの家で本を片付けているときの二人の会話。

テツ「なんやねん、こんな漢字の暗号みたいな本読みやがって。ホンマに分かっとるのか?」
花井「ちょっとも分からん」
テツ「やっぱり!」
花井「まぁ、見栄張って読んでるみたいなもんやなぁ。せやけど、不思議やなぁ。若いころはこれが全部分かったような気がしたんやけどなぁ」
テツ「はっきり言うて、勘違いしとったんとちゃうのん?」
花井「そうかもしれんなぁ。歳食えば食うほど、分からんようになるもんなぁ」
テツ「500年も生きてるからじゃ」

テツは、きっとよく分かっていないんです。でも、見事に真理をついている。花井センセが権威と無縁でいられるのは、テツのような人間がそばにいるからだと思うんですね。そうでないと、余計なプライドが邪魔をしますから、「ちょっとも分からん」とはなかなか言えない。

この二人の関係が好きです。うらやましいのかもしれない。

あと、気になったのは、「ポリ公が来たら、はいビスコ」の件です。大阪カブの会で、あらかじめビスコを一枚千円で取引し、警察が来たら「我々はお金を賭けてるんじゃなくてビスコを賭けてます」と主張するための「ポリ公が来たら、はいビスコ」なのですが、これが、放送コードとスポンサーの関係からか、「ポリスが来たら、はいせんべい」になってたんですね。

これは、改悪だよなぁと。あの作品中のヤクザが「ポリス」と言うのに違和感がありますし(「ポリ公」じゃないとおかしい)、何より、ビスコだからこそのシュールさが失われてしまっているように思います。大人の事情って嫌ですね。大人のくせに、器の小ささを感じさせて、というか、大人だから器が小さいのか。

とまぁ、いろんなことを思いました。思うままに書き連ねたら無駄に長くなってしまったので、随分とカットしました。

で、『じゃりン子チエ』はギャグ漫画なのかどうかですけど(笑)、やっぱりギャグ漫画に分類してしまうのには抵抗があります。ギャグ的な要素がないとは言えませんが、かと言って、ギャグ漫画としてはシビア過ぎる話もありますし。じゃあ、ジャンルとしては何にあたるのかと言われると、困りますけどね。

それにしても、20年振りの『じゃりン子チエ』は面白かったです。

第二期も観てみたい気もしますが、脇役のキャストがほとんど入れ替わっているので、多分、観ないと思います。脇役にこそ味があると思っているので。それに、第二期に対してはいい印象を持っていませんしね。唯一、登場人物が「ぶつぶつぶつぶつ……」とふてくされるシーンの演出は好きだったんですが。と思い出すと観たくなっちゃうなぁ。困ったことに。

調べてみたら、第二期(1991年10月19日~1992年9月22日まで放送、全39話)のDVD-BOXが、今年の12月21日に発売されるそうです。