賞味期限

規則的な揺れに身を委ね、窓の外を眺めていると、馴染みある景色が流れてきた。あの製菓工場の看板を通り過ぎると、大きなカーブに差し掛かる。次第に車体が傾き、足元のキャリーバッグが動きそうになったのを足で止めた。

ビル群の影を抜けて、夕陽が車内に差し込んだ。

海に沈んでいく夕陽もよかったけど、ハイライトは朝食券を風に飛ばされたときの加奈の顔だったな……と、吹き出しそうになるのを堪えた。

「帰るまでが遠足だ」と言われるが、こうして思い出し笑いができる間は、この卒業旅行もまだ続いているんじゃないか――そんな気がした。

電車は見慣れたホームに入り、ゆっくりと停止した。揺れの収まったキャリーバッグの持ち手をしっかりと握り直した。

(了)

奥付

雨の模様

著者
QU
公開日
2026年1月25日