七 冬の到来
森の木陰には、一昨日降った雪が残っている。
そこに、小動物の足跡を見つけた。まだ新しいものだ。それとなく目で追ってみると、リスがいた。空き家の戸口からこちらの様子を窺っていたが、馬のいななきに驚いて、中へ入ってしまった。
荷馬車だ。北街道のほうから向かってくる。護衛が四人もついている。頭を下げたまま、通り過ぎるのを待った。この先には、ゾルダンの家ぐらいしかない。手が冷たくなっているのを感じた。
役人風の男と護衛の兵士らが、荷解きをしている。ロープを解いてかけられていた布を剥ぐと、尖塔型の装飾のついた椅子だった。二脚ある。
兵士は二人一組になって、ゾルダンの家へ運ぶ。
「愚痴るな。お役目だぞ」
誰かが誰かを諫める声が聞こえた。
太い木の幹にもたれて、かじかむ両手を揉んだ。視線は自然と沈む。足元の枯れ木が滲んだ。止まらなかった。
役人と兵士たちはすぐに出てきた。手早く布を畳み、ロープを束ねると、荷台へ放り込んだ。そして、荷馬車を北の街道のほうへ向け、去って行った。
ギュウ……。
霜柱を踏んだその感触がいつまでも消えなかった。