九 種火

祖母が倒れた。

両親は祖母を抱きかかえ、藁床へ運び、その軽い体を丁寧に横たえた。兄は厚手のケープをかぶると、修道院へと走った。私は膝をついて暖炉の灰に手を入れ、熱を求めて掻き返した。灰が目に入り、涙が出た。

外が明るくなったころ、兄が修道士を連れて戻ってきた。修道士は、丁寧に礼をとると、泥のついた薬草の袋を床に置き、祖母の枕元に膝をついた。

修道士は、祖母のまぶたを押し上げる。私は目を逸らした。薪の爆ぜる音がやけに大きく聞こえた。

「もう薬草は必要ありません」

その言葉に、父は静かに頷いた。兄は、膝から崩れ落ちそうになる母を支えた。私は鼻をすすりながら、新しい薪を放り込んだ。

「火はできるだけ絶やさないように」

修道士はそう告げると、修道院に戻って行った。司祭を連れてくるのだろうと父は言っていた。

兄のケープをかぶり、私は森の中を走った。