二
踏切の手前を左に折れて、程なくして駅に着いた。
小さな無人駅だった。駅舎と呼べるほどの建物はなく、外とホームを分ける仕切壁とそれを覆う屋根があるだけだ。何か温かい飲みものでもと思ったが、自動販売機が見当たらない。時刻表を見ると、遠目からでも空白が目立つ。来た電車に乗るしかない。
ホームには、四連ベンチが設えられている。それぞれの座面には座布団が括りつけられていた。腰を下ろすと、期待ほど座布団は厚くなく、ベンチの冷たさを感じた。
線路の向こうには、田畑が広がっていた。時折、乾いた風が堆肥の匂いを運ぶ。一瞬、匂いに引っかかったが、すぐに紛れた。頭の中には電柱の影が残っていた。
コツコツと靴音が響いた。
ちらと見ると、同年代らしき女性だ。鞄を抱えて端の座席に移ると、女性が小さく会釈をしたので、こちらも会釈を返した。またベンチの冷たさを感じた。
しばらくして、ホームの電灯が点いた。