四
それでも、知らない町を歩くのは楽しかった。
やたらと見かける知らない政治家のポスター、窓をアルミホイルで塞いだ家、変な名前のスーパーマーケット、目に映るものだけを見ようと、見慣れないものを探し続けた。
郵便ポストのある曲がり角を折れると、視界が抜けた先に海が見えた。
歩みは自然と軽くなる。と、電柱のそばに猫がいた。首輪をつけたキジトラだ。軽やかなステップで寄ってくる。触れるかと思ってしゃがんだら、何だお前という顔をして逃げていった。
海沿いの幹線道路に出ると、コンビニを見つけた。
おにぎりとパンをいくつか見繕ってドリンクコーナーへ行こうとしたとき、足が止まった。さっきのスーパーで買うほうが安いかもしれない。手に取ったものを棚に戻したあと、店員と目が合って、逃げるように店を出た。来た道を戻った。